財産目録とは
所有する土地や建物、預貯金などの相続するすべての財産を一覧にまとめたものです。
相続が発生した際には財産調査を行い、何をどれくらい所有しているのかを金融資産だけでなく負債などを含めた全ての相続財産を洗い出します。財産目録の添付は義務ではありませんが、それらの財産を一覧にしておくことで相続財産の把握をすることができ、円滑に遺産分割協議を行うことが出来るでしょう。
財産の調査方法について詳しくはこちらのコラムを参考にしてください。誰が行うかの違いがあるだけで、調査方法は同じです。
財産目録の作成方法
- 財産の特定ができるよう具体的に記載する
- どの時点で何を基準にした評価額なのか明記する(作成日の記入)
- 特記事項があれば記載しておく
作成のポイントは上記の3つです。
財産調査で洗い出した情報を基に財産目録を作成していきますが、財産目録には特に定められた書式はありません。パソコンでエクセルやワードを使用して作成しても問題ありませんし、誰でも作成することができます。但し、目録の作成者署名と押印はしておくこと良いでしょう。
財産目録には、被相続人(亡くなった人)の所有している財産の特定ができるよう具体的に記載していきます。相続人が目録を見ただけで何処に何がどのくらいあるのかがわかる情報を書いておくことが大切です。特に不動産についてはいくつも評価基準があるので、どの時点の何を基準にしたかを明記しておきます。また不動産の共有持分や賃貸、賃借状況などは分配について考慮するべき事柄については特記事項として備考欄に記載しておくと良いでしょう。
それでは次に代表的な項目の書き方、必要な記載項目について解説します。
預貯金・現金
預貯金を書くときは、残高証明書を基に金融機関の名称や支店名のほかにも種別や口座番号や金額を記載します。また現金の保管場所も記載します。
最近では通帳の発行が無いネットバンキングを利用している人も多い為、こちらも忘れずに書きましょう。
不動産
不動産の種類や用途、所在地、面積、評価額、利用状況、権利関係を記載します。
固定資産税の評価証明書や名寄せ帳、登記事項証明書を確認しながら記載します。
株式・投資信託
株式などの有価証券は種類、証券会社の名称、株式の銘柄、証券番号、数量、評価額などの情報を記載します。
また評価した日付や決算日を備考欄に記載しておくと良いでしょう。上場株式の場合はインターネットで価格を調べることが出来ますが、非上場株式などの場合は発行会社に確認する必要があります。
負債
借金がある場合は、借入先の名称や氏名、借入総額と債務残高を記載します。毎月の返済額や完済予定日を記載しておくと相続放棄する際の判断材料になるでしょう。
その他
自動車やバイクは車体番号や車種、ナンバー(登録番号)や型式に加えて査定額等を記載します。
その他にも高級時計、美術品、ゴルフ会員権など資産価値のあるものは忘れずに記載しておきましょう。
財産目録(見本)
下記に財産目録の見本を用意しました。作成時の参考にご覧ください。
専門家に依頼することも検討する
財産目録は誰が作成しても問題ありません。ですが相続人同士の仲があまり良くない場合、他にも財産を隠しているのではないかと疑念を持たれ、人間関係にヒビが入るケースもあります。また本当に隠し持っていることもあるため、権利関係者が多く相続人に対する不安がある場合は、不要な疑念や争いにならないように公正公平の観点から第三者である専門家へ作成を依頼をすることも検討しましょう。
また「複数の不動産がある」や「投資を頻繁に行っていた」など、相続財産が多岐にわたる場合は、必要な財産調査だけでもかなり骨の折れる作業となります。その後自分で目録を用意するとなればかなりの作業負担になるでしょう。それにせっかく時間を割いて作成しても先ほど述べたように疑念を持たれることがあれば徒労感をから関係性が悪化しかねません。
財産調査と併せて専門家に依頼することで相続人の作業負担を軽減することが出来るほかにも、第三者の介入があることで公平性を保てるので、円滑に遺産分割協儀を行うことが出来るでしょう。財産調査や相続手続きに少しでも不安がある場合は迷わず専門家の力を借りることをお勧めします。