相続に必要な名義変更手続きを種類別に解説(預貯金・株式・不動産など)

目次

名義変更が必要な相続手続きの種類

相続手続で最終段階ともいえるのが各財産の名義変更手続です。この時点では誰が、何を、どれだけ貰うという内容で遺産分割協議書を作成されていると思います。その遺産分割協議の内容に従い進めていくだけです。ただ、以下の項目にもあるように各財産によって変更のルールや手順が異なりますのでそれらを理解し進めていく事が重要です。

  • 預貯金
  • 株式・有価証券
  • 生命保険などの保険金
  • 不動産
  • 自動車などその他の財産

当コラムでは網羅的に記述している関係上、大変ボリュームがありますので、目次からご自身に当てはまる財産を選んで読む方が効率的でしょう。

実際の名義変更手続き自体はご自身で行うことがもちろん可能ですが、相続人が多数いる場合や相続する財産が多い場合は用意する書類の数が多くなり作業が煩雑になっていきます。特に平日に手続きをしなければならないため、時間を作ることが難しい人は専門家に依頼することも検討しましょう。

「面倒だから・・・」と名義変更をしないまま放置して、本来の名義人に変更されていないと、相続した権利が時効消滅するリスクや税金滞納状態になってしまうケースも考えられますので、諦めず最後まで手続きを進めていきましょう。

遺言書の有無で名義変更の方法が異なる

ここで注意したいことは、遺言書の有無です。
相続に必要な名義変更は遺言書がある場合とない場合で手続き方法や必要な書類が変わります。
遺言書がある場合は遺言書に則り相続手続きを進めますが、遺言書がない場合、または相続人が複数いる場合は遺産分割協議にて合意がまとまれば遺産分割協議書をもとに相続財産の名義の変更手続きを進めます。
当記事では、遺産分割協議を経て名義変更を行う場合を前提にお話しを進めていきます。

預貯金の名義変更

相続において被相続人の預貯金の名義変更は必ずと言っていいほど必要になりますが、被相続人の口座を解約して、相続人の口座へ相続分を振り込んでもらう手続きになります。
銀行預金の相続手続きに必要な書類は概ね以下の通りですが、そのほか金融機関所定の書類を提出することが多いので詳細は各金融機関へ事前に連絡をして確認するようにしましょう。

手続きに必要な書類

  • 被相続人の預金通帳、キャッシュカード、証書など
  • 被相続人(亡くなった方)出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続全員の印鑑証明書 *遺言書がある場合は払い戻しを受ける相続人の印鑑証明書だけで良い
  • 遺産分割協議書または遺言書

一般的な預貯金口座の相続手続きの流れ

STEP
各金融機関に相続が発生したことを知らせる(口座凍結)

相続が発生したら取引のある支店に電話連絡をします。金融機関が預金者の死亡情報を得ると取引の安全のために一切の入出金ができないようになります。これを一般的に口座凍結と言います。
重要な口座引き落としや光熱費等の引き落としがある場合は凍結されてしまう前にそれらの『引き落とし(振替)口座』の変更手続きを済ませてしておきましょう。

STEP
残高証明書の取得、照会請求をする

遺産分割協議や相続税申告の際によく使われるのが残高証明書です。
残高証明書は被相続人の死亡時点のものを取得しておきます。
相続税申告が必要になる場合は過去5年間分取引明細書も併せて取得しましょう。

金融機関に残高証明書を発行依頼すると故人名義の取引を全て調査(名寄せ)してくれるため、財産の把握漏れを防ぐことができます。ただし、ゆうちょ銀行は残高証明書の発行依頼だけでは名寄せにならないので【貯金等照会書】を提出する必要があります。そのほか信用金庫では【出資金】もあるため漏れのないよう確認しましょう。

STEP
所定の届出用紙をもらい必要書類を用意する

各金融機関の窓口にて所定の届出用紙をもらいます。口座が遠方にある場合などは郵送で申し込みましょう。
必要書類の内容は各金融機関によって異なる場合があるので事前確認することをお勧めします。

STEP
届出用紙と必要書類を金融機関に提出する

書類の提出時に戸籍謄本などの自分で収集した書類は返してもらうようにしましょう。
原本】と【原本に相違がないことを記載したコピー】と併せて提出すれば返してもらえます。
原本を回収されてしまうと再度自分で集めることになるので注意が必要です。

STEP
被相続人の口座名義の解約手続きまたは名義変更

基本的に預貯金については被相続人の口座を解約し、換金したものを相続人の口座に振り込む手続きをします。
手続き完了までに少し時間はかかりますが、あとは指定口座に振り込みがされるのを待ちましょう。

定期預金については「解約」を選択した場合は「満期前の中途解約」扱いとなり、優遇金利が適用されないので、金利が良ければ満期まで解約せずに名義変更をして継続するといいでしょう。
但し、定期預金を引き継げるのは相続人のうちお一人だけです。(名義の共有はできません)

口座凍結前に勝手に引き出すことのリスク

金融機関が預金者の死亡情報を得ると取引の安全のために一切の入出金ができないようになります。これを一般的に口座凍結と言います。役所で死亡届が受理されたからといって金融機関が死亡の情報を得るわけではないため、自動的に口座凍結をされることはありません。したがって暗証番号さえ知っていればキャッシュカードを用いて引き出すことは可能になります。
しかし正式な手続きを踏まず勝手に引き出すことは以下のリスクを伴うためお勧めしません。

正式な手続きをせず口座から引き出すリスク
  • 相続人が複数いる場合には預貯金債権も遺産分割対象となるため、承諾を得ていなかった場合相続人同士でトラブルになりかねない
  • たとえ相続人全員の承諾を得ていても暗証番号を知っていることで、生前どのように故人の財産が管理されていたのか不信感を抱かれやすい
  • 金融機関が個々に定める預貯金口座の「規約(取引約款)」に反する可能性が高い

保険金の受領手続きについて

故人が保険証券に加入していた場合、保険金が請求できるものと保険契約を引き継げるものがあります。
保険証券の種類は大きく生命保険、医療保険、損害保険の3つに分かれます。保険金請求するものと契約を引き継ぐために名義変更するものと手続き方法が変わりますので、どれに当てはまるのか順を追ってみていきましょう。

生命保険

生命保険契約には「契約者」「被保険者」「保険金受取人」の3名が登場します。このうち被保険者が亡くなった場合に死亡保険金を請求することが出来ます。
また被保険者が故人ではなく、契約者が故人の場合は原則として「保険契約の承継手続き」が必要です。遺産分割協議の対象にもなるため、解約返戻金相当額証明書を保険会社から送付してもらい相続人のうち誰が承継するのか決める必要があります。さらに保険金受取人が故人の場合は、契約者が受取人変更手続きをする必要があります。この手続きをしない場合は多くの保険会社の約款にて「法定相続分」を基準に分配すること、としているため注意が必要です。

パターン別に以下の表にまとめましたが、特約等の付帯により複雑な契約内容になっている場合があるため、必ず保険会社へ連絡して確認することが必要です。

生命保険の手続き方法

事例①事例②事例③
契約者故人故人第三者
被保険者故人第三者第三者
保険金受取人第三者故人または第三者故人
手続きの内容死亡保険金の請求手続き保険契約の承継手続き受取人の変更手続き

死亡保険金は被相続人の財産ではなく受取人の固有の財産としてみなされるため、遺産分割の対象外になります。
そのため受取人が相続放棄した場合や、法定相続人に含まれない場合でも保険金を受け取ることが出来ます。
ですが死亡保険金はみなし相続財産とされているので保険金に対しては相続税が課せられます

生命保険の非課税限度額 (控除額)

500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額

この非課税限度額を超えると超えた金額に相続税が課税されます。
なお、法定相続人以外が取得した死亡保険金には非課税の適用はされません。

例:法定相続人相続人2人で2000万円の保険金受取がある場合

500万円 × 2人= 1000万円 (非課税)となり、残りの1000万円に相続税が課税されます

医療保険

相続手続きにおいて問題になるのは「亡くなる前に行っていた手術や入院で、まだ請求手続きを行っていないもの」がある場合「未受領(未請求)保険金」と呼ばれ死亡保険とは異なり「債権」として遺産分割協議の対象となります。
保険契約の内容によっては保険金発生の対象外になってしまう場合もあるため、保険会社へ連絡して慎重に確認する必要があります。

損害保険

損害保険は「財産」に対する保険契約です。もっとも当てはまるケースは故人が自宅家屋に火災保険をかけているケースです。死亡は保険金発生事由にならないため保険契約の名義変更(権利譲渡)もしくは解約をする必要があります。
一般的には掛け捨てである場合が多いですが、「建物更生共済契約(JA)」など積立てタイプの損害保険の場合もあるため保険会社に連絡をして必要に応じて解約返戻金相当額証明書を発行してもらうようにしましょう。
また満期返戻金や解約後に受け取れる解約返戻金は相続財産の扱いとまります。

受領手続きをの流れ

STEP
保険会社または保険代理店に連絡する

様々な契約タイプがありますので保険金がもらえるかどうかの自己判断はせず、ますは記載のコールセンターへ連絡するようにしましょう。保険金請求手続き等の書類を郵送で送ってくれることが多いです。

STEP
必要書類の準備をして手続きを行う

死亡の原因が確認できる死亡診断書の写しが求められることが多いので、手元にない場合は亡くなった病院で再発行してもらいましょう。保険金の請求手続きではなく名義変更手続きの場合もあるため、どのような手続きを行うかで必要な書類が異なります。保険会社の指示に従い準備しましょう。

STEP
保険金受領後に届く保険金支払通知書で確認する

保険金請求手続きが完了すると指定した口座に保険金が振り込まれます。
それと併せて郵便で保険金支払通知書が送られてきます。届いたらそこに記載された金額と一致しているか確認しましょう。相続税申告手続きがある場合こちらの通知書が重要になるため大切に保管しておいてください。

株式・有価証券の名義変更

相続財産に株や投資信託などが含まれている場合、預貯金口座の相続手続きとは異なり、故人名義のままでは売買や換金をすることができないので「相続人名義の証券取引口座に故人が所有していた株式等の管理を移す(=移管)」という手続きになります。

必要書類は遺言書の有無や各事業者によって変わりますが、株式や有価証券などの名義変更手続きで一般的に必要になる準備書類は以下の通りです。

また株券などを相続をする際に、相続人が証券口座を持っていない場合には口座の開設が必要になります。

遺言書がある場合に必要な書類
  • 被相続人(亡くなった方)の死亡が確認できる戸籍謄本、または除籍謄本、死亡証明書
  • 株式を取得する人の印鑑証明書
    (遺言執行者が就任している場合は遺言執行者の印鑑証明書)
  • 遺言書の写し
  • 家庭裁判所の検認証書の写し(公正証書遺言の場合不要)
遺産分割協議の場合に必要な書類
  • 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続全員の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書の写し

相続手続きの流れ

新たに「証券取引口座の開設手続きが必要」であること「すぐに解約手続きができない」ことを除いては、基本的には預貯金口座の手続きと同様です。

STEP
各金融機関から届く取引残高報告書を確認する

残高報告書を確認するとどの銘柄をどれだけ所有しているかわかります。
まずは残高報告書または取引明細書の送付の有無を確認するところから始めましょう。
また残高報告書が無くどの証券会社を利用していたかわからない場合は、証券保管振替機構(ほふり)に開示請求をして調べることが出来ます。

STEP
相続手続きに必要な書類を用意する

取引のある証券会社や信託銀行に確認して必要な書類をそろえましょう

STEP
所定の場所に必要書類を提出し名義書換をする

各金融機関の指示に従い名義書換の手続きを完了させましょう

上場株式

上場株式は証券会社や投資信託などの金融商品取扱い業者が管理を行っています。したがって、これらの事業者へ名義書換の届出をする必要があります。まずは事前に取引のある証券会社へ連絡をしましょう。

相続財産に上場株式が含まれていた場合、遺産分割協議が終わるまでは相続人全員で共有している状態となります。共有状態では名義の書換はできないので誰がどの株式を相続するのか遺産分割協議を完了させる必要があります。
株式書換申請書や株主票などが必要になる場合もあるため、適宜事業者に確認しながら進めていきましょう。

上場株式で気を付けたい4つのこと

  1. 株式数については「株式数証明書」や「議決権行使書面」を確認する

    証券会社から届く取引残高証明書はその証券会社で管理している情報しか記載されていません。
    財産の把握漏れや手続き漏れを防ぐためも、「株式数証明書」の発行を依頼するか、「議決権行使書面」に記載している株保有数を確認しましょう。
  2. 単元未満株(たんげんみまんかぶ)や端株(はかぶ)に注意

    証券会社から届く取引残高証明書のみを参考にしてはいけない理由のひとつが単元未満株端株の存在があります。
    特に保有期間の長い銘柄ほど単元未満が発生している可能性があります。その場合は証券会社ではなく、株主名簿管理人である信託銀行の特別口座で管理されているので、株主名簿管理人である信託銀行証券代行部等に対して相続手続きが必要になります。
  3. あくまで移管する手続きであってすぐには売却できない

    相続人名義の証券取引口座に故人が所有していた株式等の管理を移す(=移管)という手続きになります。
    つまり管理を移すだけですので、相続手続きの中で直接株式が売却されるわけではありません。
    また上場株式には値動きがありますので、早めに手続きをしなければ適切なタイミングで売却できず損をしてしまうこともあります。
  4. 未受領配当金の有無を確認する

    配当金の受け取り方法について銀行口座を指定していた場合はあまり問題になりませんが、窓口で配当金領収証により現金で受ける方法を選択していた場合、未受領のまま配当金が残っているケースがあります。
    これらは株主名簿管理人である信託銀行証券代行部等に照会を行うことで調査が可能です。
    相続開始日時点ですでに発生している未受領の配当金については債権となるため遺産分割協議が必要です。

非上場株式・未公開株式

上場企業の株券は銀行や証券会社、信託銀行などで管理されていますが、非上場企業の場合は各企業が株券を管理しています。ですので、相続する場合は株券を発行している企業に対して手続きを行います。
先ずは発行している企業の管理部に問い合わせをします。きちんと整備されていない企業も少なくありませんが、法律上、株主名簿はすべての会社に作成・備付義務があります。
相続したことがわかる書類一式を用意して、株式名簿の書き換えを請求しましょう。
相続したことがわかる書類一式は以下の通りです。書類の提出は写し(コピー)で足る会社が多いですが原本の提示が必要なこともあります。これらの書類をもとに相続人が相続を原因に継承することを立証し、株主名簿を書き換えてもらえば手続きは完了です。

相続したことがわかる書類一式

  • 相続人確定書類
    (被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍、相続人全員の戸籍謄本など)
  • 有効な遺言書
  • 遺言書がなく、相続人が複数いる場合は相続人全員の署名捺印のある遺産分割協議書
  • 遺産分割協議書に押された印鑑が実印であることの印鑑証明書

なお「相続」は「譲渡」ではないため、譲渡制限付き株式であっても相続する際に会社側の承認は不要です。

投資信託

投資信託とは多数の投資者から出資された資金を運用の専門家が債権や不動産などに投資してその運用成果がそれぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品で、その利益を受け取る権利のことを受益権と言います。相続財産に投資信託が含まれている場合、正確にはこの受益権を相続することを指します。
基本的な手続きは株式とほぼ同様で被相続人の信託口座から相続人の信託口座に移管することになります。

国債

国債を相続する方法として名義変更中途換金の二つの方法があります。
国債は銀行や証券会社で購入することが出来るため、購入した金融機関で名義変更の手続きを行います。
これまで同様に被相続人の戸籍謄本、相続人の印鑑証明書などが必要ですが、必要書類は各金融機関によって変わるため、被相続人の国債口座のある金融機関に確認しながら進めていきましょう。

また国債には中途換金が出来ない期間が設けられていることがありますが、国債の保有者が亡くなった場合は特例が認められ中途換金できない期間であっても例外的に「中途換金」をすることが出来ます。手続き方法は各金融機関に確認してください。

不動産の名義変更(相続登記)

故人の名義になっている不動産を相続をきっかけとして名義変更をする場合「相続登記」と呼ばれたりしますが、その手続きについて解説していきます。

相続登記では不動産の所有者が死亡し相続が発生した場合に、今まで故人が所有していた土地や建物の所有権を、相続人に移ることになりますので、不動産の所有権を取得した人は自身の名義に所有権移転登記を行う必要があります。

すぐに相続した家を売却するからと言って、故人⇒第三者など、相続人名義を省略して直接登記することはできません。すぐに売却を予定している場合でも必ず相続人の名義に変更しましょう。

登記申請に必要な証明書類の準備自体はご自身でも難しくありませんが、登記申請を行うには決まった様式で申請書を作成しなければならないので、不動産登記の申請手続きについては専門家に依頼することで効率的に進められるでしょう。

遺産分割協議による相続登記に必要な書類

  • 被相続人と相続人の関係がわかる戸籍除籍抄本(または法定相続情報)
  • 被相続人の住民票(除票)または戸籍の附票(除票)の写し
  • 遺産分割協議書
  • 不動産を取得する相続人を除く相続人全員の印鑑証明書
  • 不動産を取得する相続人の住民票の写し(または戸籍の附票)
  • 固定資産評価証明書

相続登記をしないリスクは?

現在不動産登記には、登記をしなければならない義務はありません。
しかし相続登記をしなかった場合に以下のようなリスクもあるので放置せずに早めに手続きを済ませましょう。

  • 放置した不動産の老朽化が原因で他人に迷惑をかけると損害賠償請求される可能性がある
  • 第三者に先に登記されてしまい権利を失う
  • 放置している間に所有者が亡くなり次の世代に引き継がれる際に権利関係が複雑になる
  • 特定空き家に指定されて高額な固定資産税がかかる など


また法改正により、2024年4月からは相続登記が義務化されることが決定しています。
相続してから3年以内に相続登記をしなければならず、登記をせず放置すればペナルティを科せられます。

その他の相続財産に必要な名義変更

先述した預貯金や不動産以外の相続した財産にもそれぞれに名義変更手続きが必要になります。
以下に代表的なものを挙げていますので、当てはまる場合は手続きを進めましょう。

自動車の名義変更

自動車の名義変更方法と必要書類は以下の通りです。
普通自動車の場合は管轄する運輸支局へ、軽自動車は軽自動車検査協会へ名義変更の申請をします。
故人から名義を変更しないままだと売却することも廃車にすることもできないので必ず変更手続きをしましょう。
申請期間が15日以内とかなり短いわりに事前に用意する書類も多いので優先的に進めていきたいですね。

申請に必要なもの備考
申請先管轄する運輸支局または軽自動車検査協会
申請者相続人または代理人
必要書類・相続関係証明書類
 (被相続人の死亡から出生までの一連の戸籍謄本類)
・相続人の印鑑証明書
・自動車検査証
・自動車保管場所証明書(車庫証明)
・遺産分割協議書
・手数料納付書
相続関係証明書類と印鑑証明書は
発行から3か月以内のもの

遺産分割協議書は軽自動車の場合は
不要
申請時期所有者変更事由があった日から15日以内

その他の必要な名義変更手続き

  1. 税金関係(自動車所得税の納税者変更手続き)
  2. 自賠責保険(相続人名義の車検証が出来たら手続き可能)
  3. 民間の自動車保険(任意保険に加入している場合)

バイクの名義変更

バイクを相続する場合は相続するバイクの排気量や名義変更後の使い道によって申請先と必要になる書類が変わります。
原付バイク(125cc以下)の場合は各市町村役場へ、軽二輪バイク(126㏄~250㏄)以上の場合は管轄する運輸局へ連絡をして必要書類を確認しましょう。

固定電話の電話加入権変更手続き

電話加入権とは簡単に説明すると電話回線を利用できる権利のことを言います。設置負担金という名目でNTTが回線普及に必要な電柱や電線などインフラ設備資金を調達するために支払った人に対して与えていた「電話を引く権利」です。

現在ではインターネット回線を使った固定電話も多く普及しているため固定電話があっても電話加入権を有しているとは限りません。

電話加入権の相続手続き(承継)を行う窓口は西日本と東日本で分かれていますが、各ホームページの該当ページから手続き書類をダウンロードして申請できるため、自宅に居ながら手続きを完了させることが出来ます。預貯金や不動産と比べると必要書類も少なく比較的簡単な手続きになりますね。

手続きに必要な書類

  • 新契約者の本人確認書類(免許証、パスポートなど)
  • 戸籍謄本類(故人の死亡日が記載されたもの)
  • 法定相続情報一覧図

*提出する書類で新契約者の生年月日・住所・氏名が確認できない場合は新契約者の本人確認書類が必要になる場合があります

ゴルフ会員権の名義変更

ゴルフ会員権とは、ゴルフ場の運営会社が定めた規約に基づき特定のゴルフ場を利用できる権利のことを言います。ゴルフ会員権は主に預託金型株式型の2つがあります。

ゴルフ会員権を相続したらまずは運営しているゴルフ場に連絡をし相続手続き書類を送ってもらうように請求しましょう。中には郵送してもらえず現地事務所に取りにいかなければならない場合もあります。
名義変更に必要な書類は各運営会社によって異なりますが、指示された相続手続き書類を提出したら手続きは完了です。

相続人もゴルフをする場合はそのまま名義変更を行うこともあり得ますが、年会費がかかることがほとんどなため処分される方が多いです。有名なゴルフ場であれば市場価値があるためゴルフ会員権の仲介会社経由で売却することも可能ですが、市場価値が付いていないか、著しく低い場合は預託金や入会保証金の返還手続きを行うことになります。しかし経営状況によってはほとんど還付されない場合もあるので慎重に判断する必要があります。

まとめ

さて、ここまで相続手続きに必要な名義変更について各種解説してきましたが、こうやってみるとかなりのボリュームがありますね。
実際にすべての手続きを行うにはかなり煩雑な作業となり手間と時間もかかるので、面倒になり放置してしまったり、手続きを忘れてしまうこともあるかもしれません。
ですがそのまま放置してしまえば、せっかく相続した権利が時効消滅する恐れもありますので、きちんと手続きを完了していきましょう。
もし自身での手続きが不安で面倒だったり、平日に時間を作ることが難しい場合は専門家へ依頼して煩雑な相続手続きをお任せする方法もありますので、ご自身の状況に応じて選択することをお勧めします。

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