事例紹介1 余命宣告を受け外出困難にもかかわらず、公正証書遺言を作成した事例

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余命宣告を受けた父親が外出困難にもかかわらず、公証人の出張により法的に有効な遺言書の作成に成功した事例

ある日、事務所に一本の電話かかってきました。
かけてきたのは遺言者Aの息子である次男のCさんでした。お聞きした家族構成は、遺言者のAとその妻、息子の長男と次男Cの4人家族です。

内容は、父親のAが亡くなった場合はどのような相続手続きを行うことになるのかというお問合せでした。Cさんの現状を踏まえて遺言書の必要性や効果、相続時に遺言書がどのように機能するのか等の質問に応えて、その日の通話は終了しました。 この時点では、情報収集を兼ねたお問合せにとどまっておりましたが、季節が変わるころ、改めて次男のCさんから連絡がありました。

内容は父親Aの健康状態が悪化し、入院することになったので備えとして遺言書を作成したいということでした。
遺言書を作成することになったきっかけは息子である次男Cの勧めでもありましたが、亡き後の諸手続きを簡略化して家族に負担を書けないようにしたいという想いと、面倒を見てくれている次男Cに少しでも多く譲りたいという想いから、遺言書を作成する決意をされたそうです。

この日正式に遺言作成の依頼を受けることになりましたが、遺言者にあたる父親Aさんの外出が困難であることと、入院先が事務所からは遠方にあることを理由に、直接の面談は行わず、次男Cさんとの電話とメールのやり取りのみで、公正証書遺言の作成準備をすることになりました。
意向に沿った遺言書を作成するため、しっかりとお父様ご本人の意思を確認し、必要書類の収集と遺言書の原案作成等の事前準備を進めます。
このように当事務所ではお客様の状況に応じて、適宜ご訪問や出張等の個別対応をさせていただいております。

必要書類の準備、遺言書の原案作成と並行して、病院の近くの公証人にアポイントを取ります。
今回依頼を受けた段階であらかじめ連絡を入れたところ、すでに3週間先の予約しか空きのない状況でした。公証役場に在籍する公証人の数や請け負っている案件の数によって空き状況は異なると思いますが、予定日が少し先になるためCさんともご相談しながら日程を決定しました。

この時、ご本人の体調が芳しくなく急を要する場合や、日程が先になると不安な場合は、都合のつく公証人を探すことも可能です。

日程が確定したら、当日使わせてもらえる別室やミーティングルームがないか病院へ事前相談を行います。ここではCさんから病院側にお話しを通していただき、お借りできるスペースがあるということで無事まとまりました。

作成日当日は、証人となる事務員1名を連れて病院へと向かいます。
病院には公証人との約束の時間より早めに到着し、遺言者である父親AさんとCさんとご対面し挨拶したあと、Aさんの体調の様子をうかがいながら本日の流れを説明します。公正証書遺言の作成時は、遺言者ご本人と公証人、証人2人の前で遺言書の内容を読み上げることになり、たとえ親子関係にあっても利害関係者にあたるCさんはその場に同席することが出来ません。そのため、AさんとCさんの前で事前説明を兼ね、お話する機会を設けました。

約束の時間になると公証人がやってきました。
Cさんには席を外してもらい、簡単な挨拶を終えていよいよ作成をはじめます

まず初めに、遺言者のAさんの名前と生年月日、住所を述べるように言われます。そしてどのような遺言にするのか簡単に答えるように言われますが、これは自身の名前や住所を認識しているか、本人に意思決定能力があり、遺言内容が本人の意思によるものかどうかを確認するためです。

その後、実際に作成した遺言書の内容を読み上げ、相違がないことを確認した後、原本に遺言者Aさん本人の署名・押印をします。その後、証人2名も署名・押印し、最後に公証人が署名・押印することで公正証書遺言が完成します。

この日作成した公正証書遺言の原本は公証役場に保管されることになり、写しとして正本と謄本の二つが渡されます。あとは公証人に費用を支払い手続きは全て完了です。

公証人に支払う費用は、公証役場での手続きと比べると1.5倍の手数料と、公証人への日当に加えて現地までの交通費の実費が必要になります。なお、公証人への謝礼金等は一切不要です。
費用の総額については事前に公証人から提示されるため、当日までに現金のご用意をお願いしました。

公証人が帰られた後、最後にお二人とお話しましたが、公正証書遺言が完成したことで、先々の漠然とした不安がなくなり、AさんCさん共に肩の荷が下りたような安堵したご様子でした。

今回の出張手続きでは、書類の収集や原案の作成等の煩わしい作業は全てこちらで一任されているため、遺言者のAさんにしていただいたことは、「ご自分の意向を伝えて」 「遺言書に署名押印をする」 この2つだけです。それだけで病院から出ることなく、安心確実な遺言書を完成することが出来ました。

高齢者に限らず、様々な事情から外出がままならず、遺言書作成を断念している人は多数いますが、公証人による出張認証手続きを利用することで、思いのほか容易に法的に有効な意思表明をすることが出来ます。
 
当事務所では、煩わしい書類収集や原案作成を代行し、かかる負担を極限まで抑えることで、簡単・安心の遺言書作成代行をご提供しております。お気軽にご相談ください。

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