実子の一方配偶者は相続人にならない
高齢化に伴い、介護負担が増加傾向にありますが、多くのご家庭では子供夫婦と同居して過ごされている方もいらっしゃるのでないでしょうか。
義理の息子、娘たちは家の維持のために献身的に務めることが多く、義理の両親の世話などを担ってきました。
そのような折、遺言書を作成せず亡くなった場合、たとえ献身的に介護し、生活の世話をしてくれていたとしても、血のつながりのある親族のみが相続人になり、姻族である一方配偶者の妻(嫁)または夫(婿)には相続権がありません。
特に、両親より先に法定相続人たる実子が亡くなっている場合に、その配偶者に相続分がないことで問題になるケースが多く、例えば、被相続人(亡くなった人)の実子である長男とその妻と同居しており、遠方に兄弟がいたとします。もし両親より先に長男が死亡していた場合、その財産は他の実子である兄弟が相続します。
それでは長男の妻が介護や世話を行っていたとしても、あまりに報われず不当な結果になってしまいます。
法改正により、亡くなった人の親族が介護や生活の世話をしていた場合は相続人に特別寄与料を請求をすることは出来ますが、特別寄与料の額については長男の妻が兄弟と協議を行う必要があり迂遠です。協議がまとまらない場合は家庭裁判所に審判の申立てをすることが出来ますが、この手続きは相続の開始または知った日から6ヵ月を経過すると請求することが出来なくなります。
親族同士がお金で揉める様なことは避けたいですし、老後の生活を親身になって支えてくれた人にも財産を渡したい場合は遺言書を書くことでその全てを解決することが出来ます。
遺言書の書き方(見本)
遺言書
遺言者○○太郎は、次のとおり遺言する。
第1条.遺言者は、その有する下記の土地・建物を遺言者の亡き長男○○○〇(昭和〇年〇月〇日生)の妻○○○○(昭和〇年〇月〇日生)に遺贈する。*①
(1)土地 *②
所在 大阪付大阪市旭区○丁目
地番 ○○番○○
地目 宅地
地積 ○○〇.○○㎡
(2)建物
所在 大阪付大阪市旭区○丁目○○番○○
家屋番号 〇○○番○
種類 居宅
構造 木造瓦葺2階建て
床面積 1階○〇.○○㎡
2階○〇.○○㎡
第2条.遺言者は、その有する預貯金等金融資産の2分の1を、遺言者の長女○○○○(昭和〇年〇月〇日生)に相続させ、2分の1を遺言者の亡き長男○○○○の妻○○○○に遺贈する。*②
第3条.遺言者は、上記第1条及び第2条に記載した以外の有する一切の財産を、遺言者の亡き長男の妻○○○○に包括して遺贈する。
第4条.遺言者は本遺言の遺言執行者として次の者を指定する。
住 所 大阪府守口市○○ー○丁目〇番〇号
氏 名 行政書士 ○○ △△
令和5年4月5日
大阪府大阪市旭区○○丁目○○番地
遺言者 ○○太郎 印
*①一方配偶者の場合相続人に当たらない為「相続させる」ではなく「遺贈する」と明記します。
*②法定相続人がいる場合は、遺留分に配慮して記載します。