エンディングノート(終活ノート)の目的と必要性
エンディングノートとは、終活ノートとも言われており、万が一に備えて自分の情報や希望を書き記すためのノートです。
ノートを書く目的は様々ありますが、大きな目的の一つに自分の情報や死後の希望を書き記すことで残された人や家族が困らないようにすることが挙げられます。
もしもの時の医療や介護、葬儀などの希望を書き留めておくことで、本人の考えや思いが残された家族に伝わり希望に沿うこともできますし、家族や友人など大切な人への感謝の気持ちを書き残すことで残されれた人への贈り物となるでしょう。
その他、所有している不動産、銀行やクレジットカードの情報などの備忘録として書いたり、自分史を残すために書いたりします。今までどう生きてきたのか自分史を記すことで、人生を振り返ることになり、自分の考えが整理できたり今後の人生をどう生きたいか明確にすることができるため、終活の一つにエンディングノートを書く人が多いでしょう。
エンディングノートに所有財産をなどを整理してまとめておけば、遺言書を書くときの参考にもなります。
エンディングノート(終活ノート)に記入する主な内容
- 個人情報(氏名生年月日の他に本籍やマイナンバーカード・年金手帳といった重要情報の保管場所)
- 自分史(生い立ちから現在までの歴史、学歴、職歴、思い出の場所、趣味は何かなど)
- 家族情報(家族構成、万が一の時に知らせてほしい親戚の連絡先)
- 医療関係(かかりつけの病院、主治医、延命治療についての希望)
- 介護の希望(入居したい施設の情報、具体的な介護の内容について)
- 葬儀の希望(葬儀の内容、納骨の方法、喪主に関すること)
- 資産情報(銀行の口座番号、有価証券や不動産などの資産や債務について)
- 保険情報(加入している保険会社、契約プラン、保険金の受取人と連絡先)
- 各種契約について(公共料金やその他に契約している内容について)
- 遺品の取り扱い(コレクション品や思い出の品の行方)
- デジタル情報(スマホやパソコンのIDやパスワード、メールアドレス)
- 遺言書の有無、管理場所
- 家族や友人へのメッセージ(感謝の気持ちなど伝えたいこと)
エンディングノート(終活ノート)のポイントと注意点
書き方に決まったルールはない
エンディングノートの書き方には決まったルールはありません。そのため書く内容については本人が思いのままに自由に書いて問題ありません。
書き方も手書きに拘らずパソコンを使ってもいいですし、思い出の写真と合わせてスクラップブック風にしたりもできますし、定期的な見直しを行いやすくするためバインダーを使用することも可能です。エンディングノートは必要な情報をしっかりと残し、自分が書きたいように自由に書くことが大切です。
しかし実際に書こうとしても「何から書けばいいかわからない」「残された家族に必要な情報は足りているのか不安」という人もいると思います。そんな人は市販されているエンディングノートを購入して書き始めることも有効な方法の一つです。
市販されているノートにはあらかじめ様々な記入項目があり、その項目を埋めていくことで誰でも簡単にノートを完成することができます。
書き終えたエンディングノートは定期的に見直すこと
一度書き終えたからと言ってそのまま保管しておくことはあまりお勧めしません。それは時間とともに環境が変化し、本人の気持ちも変わるためです。自身の誕生日や節目の時期など、自分の「今」と向き合って内容に変化がないか定期的に見直すようにしましょう。
保管場所に注意して、信頼できる人に伝える
書き終わったエンディングノートには多くの個人情報が記入されているため、保管場所には注意する必要があります。同じ家族であっても生前に自分の想いを知られることに抵抗のある人もいると思います。人目につかない場所に置いたり、見つけにく場所に隠すことも大切ですが、自分で保管した場所を忘れてしまう恐れもあるため、信頼できる誰かにはノートの在処を伝えるようにしましょう。
遺言書との違いを理解する
エンディングノートには財産や相続についても自由に書き残すことができます。しかし遺言書とは違い、法的効力はないということは覚えておきましょう。
エンディングノートはあくまでも本人の希望を記入しているだけで残された人がその通りに行動するとは限らず、本人の意思を無視したからと言って罰せられることはありません。
そのため、財産分与について法的効力を持たせたい場合は、遺言書を書くことお勧めします。
エンディングノート(終活ノート)の選び方
エンディングノートを選ぶ時のポイントは以下の通りです。
- 書き方がわからない人は解説付きやコラム付きのものを選ぶ
- 書き残したい項目があるかどうか目的に合わせて選ぶ
- ページのボリューム、記入するスペースが足りているかどうか
- 文字の大きさや紙質など自分の好みのデザインを選ぶ
① 書き方がわからない人は解説付きやコラム付きのものを選ぶ
「自分に合うエンディングノートがわからない」「何から書けばいいかわからない」という人は解説付きやコラム付きのエンディングノートを選ぶとよいでしょう。解説やコラムで役立つ情報を得ることもできるため、相続などの知識のない人でも書き始めやすいところがポイントで、項目を埋めるだけでエンディングノートを完成することができるので最初に書き始めるにはピッタリです。
また網羅的に項目が記載されたものを選ぶことで、自分では意識していなかった部分に気付けたりするため、必要事項の記載漏れを防ぐことができます。終活を始めるタイミングで書き始めると自身の気持ちも整理できるためおすすめです。
② 書き残したい項目があるかどうか目的に合わせて選ぶ
次に、自分が書き残したい項目があるかどうか目的別に選ぶことをおすすめします。
例えば、亡くなった後の要望を残したい場合は葬儀や相続の項目のあるもの。自分史を書いて人生を振り返りたい場合は、年表や経歴などの記入項目があるもの。記憶が曖昧になって困る前に重要項目を控えておきたい場合は、銀行の口座番号や暗証番号などの重要情報の記入項目があるものを選ぶ。など
書きたい内容が明確な場合は、その目的に合わせた項目の内容や記入スペースが多いものを選びましょう。
③ ページのボリューム、記入するスペースが適正かどうか確認する
書きたい内容が決まっている場合は、書き残したい情報とページのボリュームが合っているか、記入するスペースが十分確保されているのかも選ぶ時のポイントになります。大学ノートに手書きする場合はそこまで意識しませんが、市販されているものを選ぶ場合は自分の書きたい項目の記入スペースが少ないと書ききれないこともあります。選ぶときは「自分に合っているか」この辺りも注力してみましょう。
④ 文字の大きさや紙質など自分の好みのデザインを選ぶ
年を重ねると文字が見にくくなる為、各項目の文字の大きさは意外と重要になってきます。自分自身が見やすく書きやすい紙質のものを選ぶなど自分の好みのデザインのものを選びましょう。
内容は気に入っていても外観が好みでない場合はノートカにバーを付けたりして、オリジナリティーをだすのもいいかもしれません。
専門家がおすすめするエンディングノート5選
エンディングノートを選ぶ方方法は先程お伝えしましたが、市販されているエンディングノートには様々な種類のものがあります。項目が同じでも書くスペースが違ったり、自分にとっては必要のない項目もあるでしょう。
本当は一つ一つ確認して自分に合うノートを購入するのが一番いいのですが、種類も多いと選ぶのも大変です。それに一から自分で探しに行くのは面倒だとお思いの方もいるでしょう。
そこで最後に私が実際に手に取り、初めて書く人におすすめしたいエンディングノートを5つ厳選したのでご紹介します。
ご覧いただき、ノートを選ぶ際の参考になれば嬉しいです。
① 一番わかりやすい エンディングノート/監修 東 優(ひがし まさる)/リベラル社
タイトル:一番わかりやすいエンディングノート
出版社:リベラル社
著者:監修:東優
サイズ B5判/ページ数 61p/高さ 26cm
商品コード 9784434265792
暗証番号などの重要情報を保護する「マル秘カード」と「スクラッチシール」付き
【目次】
- 人生の振り返り
- もしもの時に備えて認知症・介護編
- もしもの時に備えて医療編
- 葬儀・お墓について
- 財産・相続について
- 終活の流れに沿って項目を埋めていくだけで完成するエンディングノート
- 見開きやすく書き込みやすい法改正にも対応した解説付き
- 情報漏洩にも配慮され、暗証番号などの重要情報を保護する「スクラッチシール」で必要になるまで隠すことができる。
- 項目や解説内容が充実しているのに約1000円で購入できてコスパ◎
文章構成が終活の流れに沿っているため、迷わず書くことができる。
遺言書の書き方や介護施設の特徴など終活に関連する情報が含まれており、知識を入れながら書き進めることができる。外観がシンプルなデザインなので書く人を選ばないのもポイント。
② コクヨ エンディングノート もしもの時に役立つノート
「もしもの時」に備え、自分の大切な情報を1冊にまとめておけるノート。
【サイズ】 6号(セミB5) 【寸法】 タテ252×ヨコ179mm
【枚数】 32枚(64ページ)
【紙質】中紙/上質紙・帳簿用紙[特厚口]100g㎡/
【製本様式】 糸かがりとじ
【付属品】オレフィンカバー付き・ディスクケース付き
【主な記入項目】
・自分の基本情報
・銀行口座について ・保険について
・口座自動引き落としについて
・有価証券 ・その他金融資産について
・不動産について ・借入金・ローンについて
・クレジットカード ・電子マネーについて
・保険について ・年金について
・携帯・パソコンについて
・WEBサイトのIDについて
・宝物・コレクションについて
・ペットについて ・友人知人一覧
・重要な連絡先について(家族・親族一覧)
・親族表 ・命日メモ ・冠婚葬祭メモ
・医療・介護について ・葬儀・お墓について
・相続・遺言について
- 文房具でなじみのあるコクヨが作ったノートで、程よい厚みがある質感とインクが滲みにくく滑らかな書き心地が◎
- 中紙は長期保存に適したオリジナル原紙「コクヨ帳簿紙」を採用がされており保管にも最適
- 手触りの良い半透明のオレフィンカバーやディスクケース付きと付属品も充実
- もしも時に備えるに為に項目を整理したい時には手軽な一冊
もしもに備えて最初に手にするノートとしては記入項目も充実しており、終活で困った事例や相続と遺言書の基礎知識の解説もあり網羅的に把握することができる。
項目数に比べてページ数が少なく、書く項目欄は小さ目なので、若い人にも手軽に書き始めやすい一冊。
③ MyLifeこれまでとこれから自分史年表+エンディングノート 令和版/K&Bパブリッシャーズ編集部
タイトル:自分史年表+エンディングノート 令和版
出版社:K&Bパブリッシャーズ
サイズ B5判/ページ数 127p/高さ 26cm
商品コード 9784902800319
【目次】
- Part.1 人生を振り返る 自分史年表
- 私について/家族について/自分史年表 など
- Part.2 エンディングノート1 これからのために
- 私の好きなもの/旅の思い出/伝えたいこと/お金のこと/私の資産 など
- Part.3 エンディングノート2 もしもに備える
- 健康の基本情報/介護・看護/告知・終末医療/葬儀/お墓・納骨・供養/連絡先リスト/デジタル遺品
- 付録 100年カレンダー
- 「自分史年表」と「エンディングノート」をまとめた一冊
- 自分史年表は1926年(昭和元年)~2045年まで書くことができ、最新のPUR製本を使い書きやすさと丈夫さがある
- 人生を振り返りながらこれからの夢や生き方についても考えることができ、もしもの備えとして自分の意思を書き記すことができる
自分史年表とエンディングノートが一冊になっており、1926年(昭和元年)~2045年までの長期間に渡って年表を作成することができる。過去の人生を振り返りながらゆっくりとこれからの生き方を考えたい人におすすめです。
④ おひとりさまのはじめてのエンディングノート/黒田 尚子【監修】/主婦の友社
タイトル:おひとりさまのはじめてのエンディングノート
出版社:主婦の友社
著者:監修:黒田尚子
サイズ B5判/ページ数 72p/高さ 26cm
商品コード 9784074499120
【巻末特別付録】
夢が広がる私のライフプランシート
未来につながる 私のライフ&マネープラン表10年リスト
【目次】
- わたしのお金(預貯金・金融資産;生命保険 ほか)
- わたしのデジタル資産(デバイス;デジタルデータ ほか)
- わたしの健康(健康情報;入院・治療 ほか)
- わたしの死後(葬儀;お墓・埋葬 ほか)
- ”おひとりさま”が知って得する&安心できるお役立ち情報が満載
- 気軽に書き込みやすいデザイン性で、未来に備えられる
- お金や保険、死後のことまで網羅しつつも必要なことだけをまとめた一冊
おひとりさまが「もしも」に備えて最初に手にするノートとして、必要項目が網羅的かつシンプルにまとめられた一冊です。内容にはお役立ち情報やコラムも含まれおり、おひとりさまの不安要素を減らすことができるでしょう。また各項目を埋めていくことで現状を再認識できるだけでなく、これからのライフプランを立てることができる、前向きなエンディングノート。
⑤ 読んで使えるあなたのエンディングノート/明石久美(著)
タイトル:読んで使えるあなたのエンディングノート
出版社:水王舎
著者:明石久美
サイズ B5判/ページ数 95p/高さ 26cm
商品コード 9784864701549
【目次】
- 緊急時の医療情報
- 残しておきたい基本情報
- 医療費の負担で利用できる制度
- 介護保険制度
- 終末期医療に関する意思表示
- 年金について
- 葬儀
- 墓の継承と墓じまい
- 判断力低下時の成年後見制度
- 「おひとりさま」が準備しておきたい契約
- 自分だけでなく、残される家族にとって役立つ情報を残すための整理の仕方をわかりやすく解説。
- 本人の要望を叶えたり手続きを行う家族目線で書くことができる。
- 「やっておくべき必須の要点だけ」をしっかり押さえた、手軽で確実に情報を残せる安心ノート
著者が相続専門の行政書士ということで、亡くなった後の相続手続きに関する情報も掲載しており、手続きに必要な情報が整理されて、本人だけでなく残される家族に対して配慮したエンディングノートにすることができる